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シロアミメグサ #3 と本物偽物

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Fittonia albivenis シロアミメグサ
[ゴマノハグサ科/アンデス山脈 原産]


フィットニアの花が咲きました。

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小さくて可愛い白い花ですね。

最近ヤフオクなどでArgostemma neurocalyx (Syn. A. pictum)の白脈と偽って本種を販売している人がいるようです。

科レベルで違う植物ですので見慣れれば全く違うことはひと目で分かるのですが、「緑の葉に白い脈模様」という点は共通していますので騙されてしまう人がどうしても出てきますね…。
僕の知っている方でも数名おりました。

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これがフィットニアの葉。
何がどう違うとは敢えて書きませんので、上リンク先のアルゴステマと比較してみてください。
フィットニアは十分魅力的な植物で、アルゴステマの安価な偽物ではありません。

かつてのピクタム人気にあやかってその他アグラオネマを初心者に高額で売りつけようみたいな目論見が透けて見えるような売り文句の販売者は以前からチラホラと見られましたが、五目といわれた草本たちやシダなどの人気が出てくるにつれてそういう混沌とした状況も顕在化してきたような気がします。

なんでもかんでもsp.つけたり (例. 園芸品種はsp.じゃないですetc.)

帰化植物がそうと認識されず流通していたり (例. シルバーラインの入ったゲスネリアsp. Sabahとかいうアレは中南米原産のPilea involucrata 'Norfolk'ですetc.)

科名と属名を混同していたり (例. Acanthaceaeはキツネノマゴ科のことですアカンサケアエsp.とかカタカナやめてくださいetc.)

ほんと色々なところで「うーん…(困惑)」って感じの部分もあります。
選択肢が増えたことで網羅するための必要な情報量が莫大なものになったことが原因なのかもしれません。

野採りの熱帯植物は良い意味でも悪い意味でも情報量に乏しいジャンルの趣味です。
『未知』という言葉にはロマンが溢れておりそこがこの趣味の楽しいところではあるのですが、既知のものであってもそれを知らなければまるで未知のものであるかのように見えてしまいます。
そこを利用して小銭を稼ごうとする人間が出るのも当然といえば当然。
ですので、騙されないためには自分で身を守るしかない。

そのために必要なのは「必ず一度は自分で調べてみる」「違和感を見ぬ振りしない」の2点。
先人たちが積み重ねてきた情報を利用するのです。
中にはもちろんクソみたいな情報もたくさんありますので、疑念が晴れないならもっと深く掘りましょう。

博識と言われているような人たちだって何でもは知りませんよ、知ってることだけ。
そういう人種もただ先人の知識を積極的に拾い集め、組み合わせているだけなのです。


(OLYMPUS E-M5 Mark Ⅱ+ COSINA Voigtländer NOKTON 25mm F0.95)


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by kied0406 | 2017-01-19 11:32 | 植物 | Comments(0)

ベランダガーデニングのすすめ

みなさんベランダガーデニングってやってます?
コンクリートジャングルの一角を緑に変える、実に崇高で最高で至高な趣味のことですね。
昨今の植物栽培ブームにならってこれから自分だけの箱庭を作ろうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ということで今回は僕の大好きな熱帯植物を利用したトロピカルなベランダ作りのお話です。


①ベランダの日当たりを知る

まず第一に、自分の家のベランダがどの方角に向いているかを知ることが大事です。
植物は種類により好む日照条件が異なります。
一日中直射日光が当たっているような環境が好きな植物から、遮光しなければたちまち葉がチリチリに焼けてしまうようなものまで色々ありますので、どの位置に何を置くかということをまず考えましょう。

うちのベランダにある植物で日当たりを好む植物は熱帯スイレンハイビスカスペンタスハナキリンなどの花物やアセロラバナナパパイヤなどの果物類、パイナップルエクメアビルベルギアなどの強光を好むブロメリア類、カレーリーフ、レモングラス、バジル、各種トウガラシなどのハーブ・スパイス類、ホリダスなどのソテツ類、など。
プルメリアやアガベ、カシワバゴムなんかも日当たりがいいとこに置いてますね。

日照時間少し短めなところにはクワンソウミラクルフルーツビリバニオイアダンホウビカンジュ、クワズイモ、カラジウムなど。

そしてほぼ直射が当たらないような鉢や葉の陰にアグラオネマコンニャク林床雑草類ショウガなどを置いています。


②空中湿度を確保する

構造にもよりますがベランダという環境は風が強く吹くことが多いです。
植物にとって通気というものは大事ですが、鉢が倒れたり葉が裂けたりという物理的なダメージや過乾燥によるダメージを受けてしまうことがあります。
特に熱帯の植物は空中湿度を好むものが多いので、出来れば一時的にでもむわっとした空気を作りだしたい。
その解決方法は鉢を密集させて配置すること。
鉢が密集することで強風は数多くの葉によって分断され、ゆるやかな空気の流れとなります。
また水遣り直後は用土が湿っているため、密集させることでその湿気を逃がさずそこそこ長時間高湿度の状態をキープできるってわけです。

以上2点はベランダで熱帯植物を育てるためのコツです。
次からはそれをオシャレにディスプレイする方法です。


③まずはそれぞれ適した場所に置いてみる

手持ちの植物があるのであれば、まずは一度並べてみましょう。
空中湿度を好む植物については鉢を一箇所に固める、乾燥に強いものはオープンスペースでもOK、といった具合にとにかく置いてみます。
そこから引き算足し算しながら考えていくとイメージしやすいです。

その隙間にはアクセントとして小物類を置いてみてもいいと思います。
うちではガルーダの石像なんか置いてます。




さ、置いてみましたか?




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④オシャレなベランダを諦める

ここが一番大事です。
物量的に無理なものは無理、状態よく植物を育てるためにはオシャレ度外視でやらねばなりません。
簾やラティスを立てかけてナチュラル感を演出したい方は熱帯睡蓮やハスを諦めてください。
とにかく一日中でも直射日光を当てたいのに逆に日照を奪おうとするなど愚の骨頂でしょう。
日照というのは花芽形成のために必要です。
肥料でどうにかなるものではないんですよ?

玉砂利を敷きたい方はいい心がけですね。
その上に鉢を並べることで水捌けもよくなります。
実に合理的ですが、もう少し言うなら玉砂利ではなく軽石に変えると保湿性も上がってなおよし。
僕もいつかやりたいです。

小物とか置いてもいいけど見えなくなりますよ。
ガルーダは画像の左下あたりに埋まってた気がします。たしか。
こうやって自分だけの空間に、無造作に植物が生い茂る空間ができるわけですね。

ベランダガーデン?
いえいえ、もはやベランダブッシュと呼ぶのが相応しいでしょう。
藪ですよ藪。


以上、僕的ベランダガーデニングブッシングのすすめでした。


(OLYMPUS E-M5 Mark Ⅱ+ COSINA Voigtländer NOKTON 17.5mm F0.95)

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by kied0406 | 2016-09-25 18:49 | 植物 | Comments(2)

植物の学名のお話: 二名法・属と種

  
第1回 植物の学名のお話: ハイフンについて


いきなりですが問題です。

Q. 次の①~⑦の中で、【学名】を選べ。ただし正解はひとつとは限らない。

①Begonia fulvovillosa
Begonia fulvovillosa
Begonia fulvovillosa
Begonia Fulvovillosa
BEGONIA FULVOVILLOSA
⑥ベゴニア・フルボビローサ
⑦ベゴニア・フルウォウィローサ





A.           

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by kied0406 | 2016-03-11 17:26 | 植物 | Comments(0)

植物の学名のお話: ハイフンについて

先日Twitterでふとしたことから数名のフォロワーさんと学名のお話になりました。

① Begonia fulvo-villosa
② Begonia fulvovillosa

さてこの違い、なんでしょうか。
見てわかるようにハイフンの有る無しですね。

まず①は現在日本ベゴニア協会のリストにあるものです。
Kew植物園のサンド博士の論文やエジンバラ王立植物園のリストでもこのように記載されていたそうで、基本的に協会のリストは原記載を元に作成されているとのこと。
つまり旧来から使われていたものというわけですね。

それに対して②は最近よく使用されることの多い記述で、僕はこっちを使っています。

2010年8月の日本植物分類学会ニュースレター(PDF)(pp.5-6)の中で、ハイフンのルールについて以下のように記述されています。


ハイフン
 学名中に使われてよい記号としてハイフン (-) があるが,分音記号がつけてもつけなくてもよい記号であったのに対し,ハイフンはその使用に関して厳密な規定がある。
 「合成語の形容語の中でのハイフンの使用は訂正されるべき誤りとして扱われ,ハイフンは削除される。」(第 60.9 条)とあり,基本的には多くのハイフンは削除修正されるのだが,同条文に「形容語が通常独立に用いられる複数の言葉から作られているか,またはハイフンの前後の文字が同じで,ハイフンが許されている場合を除く」とある。前者の例にジュズダマCoix lacryma-jobi(形容語は「ヨブの涙」の意),後者の例にタシロカワゴケソウCladopus austro-osumiensis(ハイフンの前後の文字が同じ)がある。その他の例については第60 条実例 20,21 条をみよ。原綴主義(第 60.1 条)により,発表時にハイフンが加えられていれば削除対象でないかぎりハイフンは保持され,ハイフンがなく一語にまとめられていればその形を維持することになる。
 おもしろいことに,この規定は形容語であるかどうかによって扱いがことなっている。第60 条付記 3 は「第 60.9 条は(組合せの中の)形容語にのみ適用され,属またはより高いランクの分類群の学名に対しては適用されない。」と述べている。これにより形容語ならばハイフン削除対象となる合成語を用いた属名Pseudo-salvinia Piton(第 60 条実例 22)はハイフンを保持する(第 20.3 条および第 20 条実例 8 もみよ)。



この文章中にやたら出てくる『形容語』というのはなんでしょうか。
ひとまずここで学名の三名法についてちょっと考えてみましょう。

Labisia pumila var. lanceolata

たとえば例を挙げるとラビシア・プミラ変種ランセオラータの学名は三名法によって上のように記述するのだけど、これは属名種小名変種や亜種etc.となっています。
そして意味を理解する上でその構成がわかりやすく見えるように書くとこう。

Labisia pumila) var. lanceolata

ラビシア小さい~) + 皮針型の~

後から前に向かって修飾するような形ですね。
まずLabisiaという植物がありました。
そのLabisiaの中でも小さい種にLabisia pumilaという学名がつきました。
そしてそのLabisia pumilaにはいくつもの変種があり、その中でも葉が尖ったタイプにLabisia pumila var. lanceolataという変種名がつきました、と。
これが三名法による学名の構成です。
そのためラテン語である学名の中で形容される対象である属名の単語は『主格』、種小名以下の単語は主格を形容する『属格』で記述されるわけです。

つまり、先ほど引用したニュースレター文中の『形容語』とは種小名以下のことをいいます。
属名以上には適用しないって書いてんだからそんなもん見りゃわかるわアホ、回りくどい…って言いたいのはちょっと堪えてくださいね。
ラテン語の【主格+属格】という形がわかればちょっと飲み込みやすい話ですので。
それでは引用文の黄色文字を読んでいきましょう。


「合成語の形容語の中でのハイフンの使用は訂正されるべき誤りとして扱われ,ハイフンは削除される。」
 →なるほど、ハイフンは基本的に誤りであり、Begonia fulvo-villosaBegonia fulvovillosaにすべきなのだな?


「形容語が通常独立に用いられる複数の言葉から作られているか,またはハイフンの前後の文字が同じで,ハイフンが許されている場合を除く」
 →あれ、例外もあるのか。ふむ。もっと詳しく見てみよう。

まず「形容語が通常独立に用いられる複数の言葉から作られている」例に挙がったCoix lacryma-jobiはどうでしょう。
この中で形容語はlacryma-jobiですね。
 ● lacryma…涙 [主格]
 ● jobi…人名Jobの~ [属格]
つまりlacryma jobiだけで「ヨブの涙」という独立した合成語になっているわけです。
他にハイフンが残っている例としてHibiscus rosa-sinensisAdiantum capillus-venerisも種小名つまり形容語は【主格+属格】になり、それぞれ「中国のバラ」「ヴィーナスの髪」の意味になっています。

次に「ハイフンの前後の文字が同じで,ハイフンが許されている」例に挙がったCladopus austro-osumiensisは…まぁ説明するまでもないか、割愛しましょう。文章のままですし。

さてそれではfulvo-villosaの場合はいかに。
 ● fulvo…赤みがかった黄色の~ [属格・単] ※主格はfulvus
 ● villosa…毛むくじゃら [主格・女性形] ※通常の主格はvillosus[男性形]
おやおやー。なんか文法がおかしくなってますね~。
正しくはvillosus fulvisとなるはずであり、これは独立した言葉になっていませんね。
そしてハイフンの前後の文字が同じということもない。
つまり例外ということもなくfulvo-villosaのハイフンについては削除対象であるということです。


発表時にハイフンが加えられていれば削除対象でないかぎりハイフンは保持され,ハイフンがなく一語にまとめられていればその形を維持することになる。
 →これはそのまんまですね。fulvo-villosaのハイフンは削除対象であったため保持されなかった、と。
  ちなみに後半は「原記載にハイフンがない物については足すこともないよ」ということです。


「第 60.9 条は(組合せの中の)形容語にのみ適用され,属またはより高いランクの分類群の学名に対しては適用されない。」
 →これもそのまんま。属名はハイフンがついていてもいじらない、ということです。


…と、以上のことからBegonia fulvo-villosaは現在Begonia fulvovillosaと記述するのが現在の主流となっています。
そして事実として前述のKew植物園のリストでもハイフンは既に削除されているようです。

とはいえ、植物研究者にとってもICN60.9は非常に不明瞭な条文であり個人の解釈によって大きく扱いが異なるとのことです。
ので、主流はハイフンなしであるものの結論としては旧来のハイフンありも誤りとは言えない、と。

ラテン語については付け焼刃なので違ったら恥ずかしい。
けどいい勉強になったし調べるの楽しかったです。

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by kied0406 | 2016-03-04 17:20 | 植物 | Comments(0)